私は長年システムエンジニアをやっていますが、外国人の知り合いに自己紹介する場合自分の職業を何と言えばいいのか、時々迷ってしまいます。「システムエンジニア」とはいわゆる和製英語であって、アメリカでは、computer programmer,system analyst,system administratorなどが同じ意味に相当するそうです。「システムエンジニア」とは、いわゆるITシステムの立案から設計、開発、運用、問題解決にいたるまでオールラウンドにこなす職業の人を指しますが、日本で「プログラマー」と言うと、少し下に見られているような感覚があります。何となくですが、「プログラマー」は指示された通りプログラムを作成する人、というイメージになってしまうのです。これは恐らく、今から30年以上前、まだホストコンピューターと呼ばれる大型汎用コンピューターが主流だった時代、システムの設計をする人がシステムエンジニア、設計書通りにコーディングをする人がプログラマー(あるいはコーダー)と明確に役割が分かれていた時代の名残なのでしょう。現在でもシステム会社の求人広告などで、「SE/PG」のように書かれているのを見たことがあるのではないでしょうか。これは往々にして、SEは経験6年以上を指し、PGは新人~5年生まで、みたいな基準に使われているものと思われます。経験何年で、という明確な区切りは不明ですが。
しかし、かのビルゲイツが自らを「私はプログラマーだ」と自己紹介したように、アメリカでは少し違うニュアンスがあるように思います。何となくですが、 革新的な想像力を持ったIT技術エンジニアのイメージでしょうか?いずれにしても、computer programmerはアメリカではリスペクトされる職業の一つのようです。ちなみに設計書に基づいてコーディングをする人を近いニュアンスの英語で表現すると、software engineer なのだそうです。さらに、systems engineer (s が付く)と言うと、LAN設置技術者のことを指す場合もあるとか。日本ではよくフィールドエンジニアなどと言ったりしますね。そもそも systems engineering という言い方をすると「システム工学」という学問の呼び方だったりします。ここでいう「システム」とは、コンピューターシステムに限らず広義での言葉となります。詳しくはWikipediaを見てください。
かつて若手だった頃は、いくつかの開発プロジェクトを担当し、それこそ日本語でいうところの「プログラマー」として、開発作業に明け暮れた時期もありました。しかし現在の私は、企業のシステム部門に常駐する保守運用担当。問題解決の一手法としてプログラムを作成する場合ももちろんありますが、全体的な割合で言えば、プログラミングの機会はほとんどありません。長年同じ会社で保守をやっている人はご承知かと思いますが、私の役どころは「社内システムよろず相談所」みたいなものです。決して自分を卑下しているわけではなく、むしろ人の役に立つのなら自分は何でもやります、というスタンスのつもりです。クラウドへの移行設計もやりますが、時には届いたノートPCの開梱作業だってやります。サーバー構築もやりますが、PCの調子が悪くて困っている社員のサポートも行います。さて、こうなってくると自分の職業の説明はますます難しい。やはり日本風に「システムエンジニア」という曖昧な意味を含んだ言い方のほうが、何となくしっくりくる気もします。
とりとめもないトピックであり、何か結論を見出そうとする意図もないですが、次に外国人に自己紹介をする機会があれば、こんな風に言ってみようかと何となく思っています。
Hi,I am a ‘System Engineer’ that means IT convenient man.
はたしてどう聞こえるのでしょうか?反応が楽しみです。